本のご紹介: 吉村元男 『森が都市を変える』

画像吉村元男『森が都市を変える』2004、学芸出版社、 2500円

掌の上に森を作り、それを眺めて怒ったり涙したりしている修羅のような人、吉村さんの仕事を見ていると私はいつもそう思う。

大阪駅のJR貨物ヤードが再開発されている。やはり、ここにもコンクリート・ジャングルが、と思っていたら、空中庭園のある高層建築が現れた。新梅田シティは中央に円形の森があり、噴水があって豊かな水の恵みが象徴されている。場所柄、いちめんの森は作れないが、経済優先の社会であっても、人間には欠かせない「野生」その象徴として森がある、という吉村さんの思いが強く表れている。

吉村さんの造園家、ランドスケープ・デザイナーとしての最初の大きな仕事は、万博公園跡地に30年で人工の森を作り出す仕事から始まっている。依頼を受けたとき、恩師である梅棹さんに相談したところ、「都市化や自然破壊のスピードに対抗するためには、自然の再生力だけに頼っていては追いつかない、そのために自然回復のスピードをあげなければならぬ、今、自然な自然を望むなんて無理だという大胆なアドバイスをうけたそうだ。そこで、ひらめいたのは鎮守の森、それをモデルに見事な人工の森をつくりあげたのである。その後、大阪の水源を守る大阪府民の森という大プロジェクトも成功させるという凄腕をふるっている。

ちなみに私は、1976年にみんぱくに就職したので、万博の森をつぶさに体験することが出来た。ひょろひょろの木が点在する空き地から鬱蒼とした森へ、極相の閉鎖性を防ぐためのギャップづくり(伐採)、環境変化に連れて変わるムシやトリ、森を上から見るソラード、縄文人の食糧だったドングリをひろって生産量の調査をやったこともなつかしい。17日から始まるシンポジウム「万博公園の自然の変化」での吉村さんの講演、そのあとのパネルディスカッションが楽しみである。

(カンチョー)

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