山折哲雄氏の講演会(報告)

3月14日(土)、山折哲雄先生(国際日本文化研究センター名誉教授、元所長)の講演会が吹博講座室で開かれました。170の椅子席がほぼ満杯の盛況ぶりでしたが、講演内容も盛りだくさんでした。先生は印相の結び方から説き起こし、神像の文明比較をおこない、日本の仏像や神像の特徴について論じられました。それによると、ギリシャ、インド、中国では神々は肉体をもっているが、日本の場合は霊的な存在であり、仏教の影響ではじめて神像がつくられるようになり、最古の例は老人像だったとのことです。それが能の翁面につながり、人生の最終ステージである老人がカミにもっとも近い存在だと指摘されました。
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釈迦の涅槃像についても比較の視点を持ち込み、①閉眼、②開眼、③半眼の3つのタイプに分け、日本の場合は三千院阿弥陀堂のそれをはじめ、半眼が多いことに言及し、翁の面も半眼であり、生と死を同時にみていると結論づけました。

また、いくつかの仮説も提示されました。インドに端を発する仏像は大から小へ、男性から女性へという傾向があり、日本では路傍の地蔵や女性化した観音像にその例を求めることができる。西村公朝の彫った仏像も晩年は小さくなっている。それが一つ。もうひとつは、西村公朝は板画家の棟方志功をライバルと思っていたのではないか、というもの。棟方の十大弟子(板画)はデフォルメされた作品だが、釈迦は描いていない。他方、西村の十大弟子(木彫)はそれぞれの個性を刻むと同時に釈迦を想定している。西村の絵画には釈迦と十大弟子が描かれていて、そこには宗教的な救いがある、と。

講演後、山折先生は息子で彫刻家の西村公泉氏や西村家の方がたとの会話を楽しまれたが、そこでも眼の表現やライバルについて興味津々の議論が続きました。
(アルプスの少年)

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