「吹田市の自然物語」09年8月16日(日)講演「外来種は悪者なのか」 「大阪のタンポポ」

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講演:「外来種は悪者なのか」 高田みちよ(「あくあぴあ芥川」主任学芸員)

 ■外来種の被害の実例をあげ
 「外来種は本来いるはずのない場所に外から人によって持ち込まれ、地域の自然環境に大きな影響を与え、生物多様性を脅かすもの、特に侵略的外来生物」と定義されていると高田さんは、『外来種ハンドブック』(日本生態学会2002年発行)を参考に説明を行いますと講演をはじめた。
 「外来種はなぜ問題になるか」について、ケースに分け、詳しく説明を加えた。
 (1) 人に危害を加える
・アライグマは農作物に被害を与え、アライグマの回虫が卵→糞→風で人の口から入り→胃を破り体の各部に侵入する恐れがある。
・直接人に危害を加えるカミツキガメ、セアゴケグモ。
・花粉症を引き起こすオオブタクサやイネ科植物。
(2)産業被害をもたらす
・沖縄以外でゴーヤが食べられるまで、ウリミバエの根絶に204億円、44万人が投入された。
・モロコやヒガイなど在来淡水魚を食うブラックバス、ブルーギルにより漁業資源の減少を招いている。ブルーギルは米国では皮を剥いで白身を食べる。高田さんはそこで食べてみたが皮の臭いが強烈であったと感想を述べた。
・林業への影響
(3)タイワンザルとニホンザルが交雑して雑種がうまれている例から、在来種の純系を失わせる
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■1.入れない 2.捨てない 3.拡げない
問題を引き起こす外来生物の96種を特定外来生物と指定して「外来生物除去法」が2004年6月2日施行された。生物多様性の保全から外来生物被害予防三原則“1.入れない 2.捨てない 3.拡げない”の行動することが大切である。ところが環境庁に相談、申請など行うと対応におわれている様子で、社会に広く周知されるに至っていない。違反した場合科せられる罰則規定がある法律であり、注意を要すると説明した。
■奮闘するミズヒマワリ駆除
 ミズヒマワリが芥川に侵入、水際や中州に繁殖し、中流域から下流域淀川合流点までに至り、この駆除活動に芥川倶楽部が2006年から取り組みはじめた。川に入り駆除したミズヒマワリの処理をめぐり、高槻市とのやりとりを含め、大変な労力をかけて奮闘している体験を高田さんは語った。それでも現在8分の1しか駆除できていない。応援の人手を募りますと求めた。

 ■吹田市にいる特定外来種
吹田で見られる特定外来種をあげた。
ヌートリア、アライグマ、ウシガエル、カダヤシ、ブルーギル、オオクチバス、セアカゴケグモ、
ナルトサワギク、オオカワヂシャ、アレチウリ、オオキンケイギクナガエツルノゲイトウ、合鴨農法でアズラ・クリスタースが鳥の足について外に繁殖、水辺にボタンウキクサ、アアフサモなどが繁殖している。ところが対策ができていない。
箕面でみられた外来鳥ソウシチョウは万博で囀っていると「野鳥の会」の平さんが報告した。
 高田さんは「外来種によって固有の文化が失われるであろう、その駆除に莫大な労力と経費を使っている事態に多くの人が注目してほしい」と結んだ。


講演:「大阪のセイヨウタンポポとカンサイタンポポ」
木村進(大阪自然環境保全協会理事)


◆葉緑体DANによる
在来種と外来種、雑種の識別
 木村進氏より、市民による大阪のセイヨウタンポポとカンサイタンポポの調査にみる大阪、近畿の自然環境変化について語った。
 1974年から大阪で調査をはじめた経過から、1990年頃から両者の雑種が全国各地で拡大しているのが明らかになった。調査する市民も驚いた。雑種種子形成における遺伝的特徴の模式図で説明した。在来種と外来種の識別を正確に判定するため、葉緑体DANの解析を行い、地域での比率を求めることになった。花粉をみれば雑種と在来種が区別でき、2004年から近畿全域で雑種タンポポの解析を含めた調査結果を説明した。
 ◆外来種が4分の3の府下
大阪府内全体の分布状況を1980年、1990年、2000年で示し、開発に伴う自然破壊の進行とあわせ急ピッチで郊外へと拡大して外来種が府下の4分の3に達する状態であった。その後、千里、泉北ニュータウンの著しい外来種の侵入(増加率)が頭打ち状態になっていると説明した。
2005年調査の近畿では外来種の割合は都市部で高く、在来種が多いのは郊外の一部である。
2010年には近畿、中国、四国の各地方に福岡県を調査対象にして行う準備をしている。
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◆宅地化され貧栄養な土壌に外来種が増えた
生物相が豊かな丘陵地や農地が宅地化され、表土がはがされ、道路が舗装され、わずかに残った土地は乾燥して貧栄養でアルカリ性の土壌となり、無融合生殖で種子を形成する外来種が増えた。
◆在来種が生育できる環境へ
調査に参加する市民は身近な自然に関心を持ち、在来種タンポポが生育する土地は自然度が高く、大切であるという共通の認識がえられつつある。そして変化する環境に気づき、在来種のタンポポが生育できる環境を取り戻していく活動につなげていきたいとの思いを力込めて語った。
◆暮らしからみるタンポポ
タンポポの名前の由来、文献に見るタンポポの名称、ヨーロッパで呼ばれている名称、日本の文献で始めてタンポポが記載されている時代などをクイズ形式で出題し、説明を加えた。
タンポポは世界に約400種あり、オキタンポポ、トウカイタンポポ、シナノタンポポ、カントウタンポポ、エゾタンポポなど約20種が日本に分布し、料理、薬草など暮らしの中に利用してきている例をあげて、講演を終えた。

館長トーク、参加者との質疑が行われた。
参加者と高田さんとの間で、世代間では目標にする自然の原風景の違いを述べ、共通の原風景が形成されていないと語り合われた。
(報告作成・M)

この記事へのコメント

2009年09月17日 08:18
吹田にもセアカゴケグモがいるんですね…気をつけないと…