「吹田市の自然物語」09年8月15日(土)講演:「都市の生き物」  報告:「吹田ヒメボタル」

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吉田宗弘先生は、都市のなかで昆虫がどのようにしたたかに生き抜いているかをチョウの生態からお話しをしますと13時から14時45分にかけて講演した。
 ■チョウからみる植物と昆虫
 オオモンシロチョウとモンシロチョウの違いから
都市の自然を語った。オオモンシロチョウが繁殖したロシア沿海州から北海道に飛来した。そこで北大へ網を持ち、オオモンシロチョウを求めたエピソードを述べた。この幼虫が作物に群がって食べ尽くす大害虫であり、これに寄生するアオムシコマユバチ、二次寄生するカタビロコバチをあげ、植物と昆虫が織りなす関係性を語った。外来種が食べ物を確保し、冬を越して生存している例に私たちが馴染んでいるモンシロチョウをあげた。
 さらに、都市にみられるワカモリコイタダニ、ハヤブサは本来生息する岩場で裸地である。都市は同じ環境にある。裸地の都市の植物を、残存植物、侵入植物、造成植物の3分類に分け、各々身近にみられる種類をあげて、説明した。
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■都市に生きる南方暖地系チョウと里山のチョウ
都市に棲息できる昆虫(チョウ)の条件を都市の環境(明るい、保水力のない土壌)に適応でき、都
市の植生を利用できることであるとした。
 都市近郊住宅地と里山のチョウ群集を自ら調査した7カ所をあげた。みられたチョウの種類を上位5位とその他に分け、その種類の違いを示し、植物との関係を詳しく説明した。
 亜熱帯のツマグロヒョウモンの幼虫が自宅のパンジーを食べていたがカバマダラに襲われた。このような南方暖地系のチョウが関西の都市部のありふれた種になるだろうかと述べ、アオスジアゲハ、ヤマトシジミ、ナガサキアゲハ、イシガケチョウ、ムラサキツバメ、クロマダラソテツシジミなどの越冬と食草・食樹の関係を説明した。コテマリや雪柳などにホシミスジが棲息する例をあげ、条件が揃えば南方系でなくても都市で繁殖する例をあげた。

 ■都市に生きる生き物と人の関係
 チョウだけではなく、都市に棲息する昆虫、鳥をあげた。都市昆虫を狩り、缶ジュースを飲み、残飯を食べるキイロスズメバチ、キアシナガバチ、営巣場所を都市の中に見つけるニホンミツバチ、オオスズメバチ、都市近郊の河川でブルーギルなど外来魚を餌にするカワセミなどをあげた。
 「クマゼミは本当に増えたのか?いつからふえたのか?どうしてふえたのか?なぜ都市部に多く、山地に少ないのか?科学的にはどれも確かなことがいえない。大切なことは観察すること、そして記録すること」と語り、講演を終えた。


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 ◆よくぞ!!生き残ったヒメボタル
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 塩田敏治氏よりヒメボタルの報告が行われた。
 ゲンジ・ヘイケ・ヒメボタルの見分けからヒメボタルの特色を千里第4緑地での1998年から2009年の発光数、時間などの調査結果から説明した。
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 3年ごとに発光数のヤマがみえるが、発光数が低くなってきているのが気になると語った。区域別合計発光数、植栽とヒメボタルの棲息数を示した。
土中の生き物との関係を調べ、多様な生き物の保護を図っていきたいと述べた。
 伊丹・尼崎・茨木・高槻・京都などのヒメボタルの発光時間、大きさを比べ、平地型は山地型より大きく、5~6月が発光期で、山地型は7から8月。
発光時間帯からの区分、DNAの解析による5グループに分け、近畿に3グループが棲息している。
ヒメボタルは移動能力が少なく、生存地で遺伝子の違いが見られると説明した。
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 このヒメボタルを守るため、雑木林に進出した竹を伐採する植栽などの管理作業を行い、住民は街灯の消灯を行うなど地域で取り組みを行っている。
「よくぞ!!生き残ったヒメボタル」「光―命の終焉 命の継承」「この風景を次世代に残し伝えたい!」と強調して終えた。

 ■自然の原風景の保全に農業、林業の再評価を
 館長と吉田先生のトークが行われた。
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 ここで吉田先生は自然保護、里山の保護にこれまでの農業、林業従事者が果たしてきた役割と農業のもっている意義を思い起こし、農業の型が変わってきているが、工業的な視点の農業経営では自然の回復の視野が開けないと述べた。さらに、東京一極集中が進む一方、地方では限界集落となり人がいなくなり、里山、水田を原風景とする自然が荒れ、自然は戻ってくるとは思えない、社会と人のあり方が問われていると語った。
  (報告作成・M)

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