「吹田市の自然物語」09年8月9日(日)シンポジウム・フォーラム:吹田の自然と人のかかわり

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 吹田の自然に8団体から提案
吹田市立博物館で小山館長の司会のもと、吹田の自然保全活動に取り組んでいる8団体から活動の紹介、報告が持ち時間5分間で行われ、各団体から、吹田の自然の現況が明らかにされた。この後、阪口市長が参加したシンポジウムが開かれた。
 活動を報告した8団体は、すいた市民環境会議(小田忠文氏)、吹田野鳥の会(平軍二氏)、すいた環境学習協会(美濃部剛氏)、アジェンダ21すいた(橋本幸治氏)、吹田地学会(林隆夫氏)、紫金山みどりの会(西川保氏)、吹田ヒメボタルの会(塩田敏治氏)、吹田自然観察会(高畠耕一郎氏)。
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 ◆“吹田の原風景の再構築”を
シンポジウムでは司会の館長が各団体の報告を受け、市長の見解を求めた。「吹田にとって高度成長期以降千里ニュータウンによる都市化が転換期であり、水田、里山の風景が減少した。「万博の森」が30~40年で都市の自然として再構築された。この例から、市民団体と行政は連携して吹田の原風景を再構築していくことにあると市長は熱を込めて語った。
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 ◆鳥からみる吹田の自然
○平氏は、住宅地の木が育ち、林を好む山の鳥がみられるが、田畑が減少し、草地が少なくなり、草地を好む鳥の姿がみられない。また、自然を木のみであるとするのは生物多様性との関係から見直す必要があると述べた。
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 ◆吹田のつくられた自然
 吹田の自然の評価について、館長から各団体からの意見を求めた。
○西川氏は、父親から聞いていた吹田が都市化される以前の雑木林、特産品の竹、桃や紫金山の自然の光景を思い出して語り、「万博の森」は人工の森であると述べた。
 ○林氏は、丘陵地を造成した千里ニュータウンは谷埋め工事であり、また軟弱な地盤の水田を住宅地にしている所があり、地震対策=地盤対策が必要と主張した。23日(日)に予定している「吹田の地盤と防災」で取り上げて行うと案内した。
○小田氏は、水田の減少によって水辺の生き物が減少したとし、吹田の河川は暗渠や溝になり、人がふれあえる状態になっていないと指摘した。
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 ◆蚊に襲われた体験がない子ども
○橋本氏から、整備された自然を子どもは安全を大事にしている自然ととらえ、自然に対して危機感がない子どもが多いと活動体験から述べた。
 ◆なくなった自然を言葉で伝える難しさ
さらに野外活動では長袖を着て行うのが、それを指示していないと半袖を着てきて蚊に襲われた。子どもにはこのように自然の体験がない。子どもの環境教育、文化が育っていないと語った。
○美濃部氏は、環境学習から今の子どもはマツの木も知らないことやお母さんも鎮守の森を知らないし、知る必要もなかったようであり、なくなった自然を言葉で伝える難しさがあると述べた。
○塩田氏は、昭和ひとけた以外の人は下草刈りなど里山の作業のイメージができなくて、体の動きがともなっていないと語った。
○橋本氏は、大学生の8割がたき火をつくれない状態で、川をみたこともない自然の体験がない子どもが大人になっていくようであり、自然体験が必要と主張した。

 ◆「吹田市のみどりの基本計画」の策定を
○小田氏は、生物多様性について制定された基本法を受け、吹田市のみどりの基本計画を策定するよう求めた。
○市長は、行政はコジネートの役割を果たし、目標を掲げ、市民の合意をえるようよう行っていくと答えた。
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 会場から質疑―自然にふれる場を
館長は次に会場から意見、質疑を求めた。

 ◆カエルにふれない子ども、土が汚いという母親の清潔感
「カエルに触れられない子どもがいる。生き物がいる身近な自然を大切にしてほしい」「落ち葉が嫌われて、街路樹や学校で木が伐られ、ゴミとして捨てられている。行政の対応に問題があるように思う」と小田信子さんが意見を述べた。
 館長は教育現場からの意見を高畠氏に求めた。「土がついている草に触れないとし自然のものは汚いという清潔感をもっている母親の生活が反映している面がみられる」と高畠氏は答えた。
 会場から、「問題は自然と人との関わりというより人と人との関わりである。以前の“キツネを守れ”という声はどういう目的があったのか、不自然なみどりが残っている」と発言があった。
 司会の館長は、すいた市民環境会議喜田さんに意見を求めた。
 喜田さんは「吹田にあるみどりを残し、吹田らしい自然をみどりの基本計画として、子どもと母親が自然にふれていくようにしてはどうか」と提案した。美濃部氏は自然を理解していく親子観察会を行っていく必要があると賛意を表した。
これに塩田氏は「人間の外にある自然を2,3時間で理解するのは難しく、自然に苦労する点をどのように理解していくかである」と理解を深める面を指摘した。
小田氏は、落ち葉や草が残され、昆虫や鳥が来るような公園へ整備する課題をあげた。
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 ◆美しい在来種の再発見を
 館長は次に家庭菜園での農薬使用が野放しの状態にあり、外来種のガーデニングについての意見を求めた。
 平氏より、「市民が外来種のきれい、目立つとの感覚に慣らされ、吹田市内の外来種は60~70%になっているのではないか。野草をみる時、まず『帰化植物図鑑』を調べている」と述べた。
 カブトムシのヘラクレスが住みついているように人間の都合で外来の昆虫、動物が在来種を駆逐する恐れがあるとする発言があった。
 繁殖するブラックバス、ブルーギルの外来種だけでなくアライグマが保育園に現れたりする状態を人間がつくりだしている面をとらえ返す必要があるとの意見が述べられた。
 西川氏は、紫金山の150種の在来種が美しいという感覚を育てていく必要があると強調した。
 さらに、個人が所有するみどりを継承していく受け皿がこれからの問題になると発言があった。

 ◆市長は「子どもが自然にふれあえる
「“先進的環境都市づくり”へ」を提唱
 館長は最後にシンポジウムの講評を市長に求めた。市長は概ね次のように述べた。
 各団体から里山、緑地、川、鎮守の森と都市の自然について切り込まれた意見がでていた。トマト、ナス、ジャガイモを保育園、幼稚園で栽培し食べている例から子どもの自然体験が課題である。35小学校区の中で地区管理型農園での田植え、収穫を行い自然にふれていく、“5坪のどんぐりの森”を設け、野鳥が訪れる遊び場とするような子どもに自然がみえるように行っていく必要を感じた。“みどりのカーテン”“太陽光パネル”導入などを行い、“先進的環境都市づくり”を行っていくにあたって市民、各団体の協力をお願いしたいと結んだ。
 館長は、各団体相互の意見交流ができた意義を述べ、予定時間に達して終えるとした。
(報告作成・M)

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